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第14回:潰瘍性大腸炎に対する新しい治療法【白血球除去療法】
( 2004年09月16日 掲載 )
1.はじめに
近年急増する消化管疾患のひとつに、「潰瘍性大腸炎」という病気があります。10代から30代に発症することが多いこの「潰瘍性大腸炎」は、難治性であり、なぜ病気が起こるのか?その原因は未だに不明です。
 従来から、免疫抑制剤である「ステロイド剤」による治療がひろく行われてきました。「ステロイド剤」と聞くと、なにか怖い薬のイメージがありますが、適切な使用法を守れば有効性にすぐれた薬剤です。しかし、この「潰瘍性大腸炎」では、次第にステロイド剤が効きにくくなる、ステロイド抵抗性の患者様が少なくありません。
 そこで、最新の治療法として、「白血球除去療法」が考案され、保険適応も認可されました。今回は、この「白血球除去療法」について解説いたします。
2.白血球除去療法とは?
   「潰瘍性大腸炎」は、原因不明の疾患ですが、炎症の本体は白血球であるといわれています。であるならば、炎症を起こしている=悪い白血球を血液中から除去すれば、病状が改善するのではないか?という発想からこの治療法は生み出されました。
 もちろん、いい働きをしている白血球もあるので、すべての白血球を除去してしまうことは不可能ですが、炎症を起こしている白血球だけを選択するために、血液を血管から取り出して、カラムというフィルターに通します。そして、また患者様の血管の中に血液を戻します。ちょうどイメージとしては「血液透析」に近い治療法です。
3.実際の現場
  当院でも、これまで数名の方にこの「白血球除去療法」を行いました。ステロイド剤は有効であるが、その量を少なくすると再発してしまうような患者様が対象です。いまのところ、全例で有効性が認められました。しかも、この治療法は入院ばかりでなく、慣れてくれば外来でも行える簡便なものですから、お仕事を持った働き盛りの年代の方にも負担を軽減できることになります。
 以下に、実際に治療しているところの写真を呈示します。
 (写真の掲載については、患者様ご本人の了承を得ております)
図1~2 通常の病室のご本人のベッドで治療を行います。片方の腕に血液を脱血する針を刺して、機械を介して、反対側の腕の血管に血液を返血します。
図3(左) これが、血液中の活性化された白血球を除去する装置です。コンパクトですから、隣の患者様のベッドとのすき間におさまり、迷惑をかけません。
図4(右) 血液を取り除く間に、心電図や血圧に異常を起こす場合もあるため、治療中は「心電図モニター」や「自動血圧計」を装着します。もちろん、ほとんどの場合は大きな副作用をおこすことなく安全に治療が行えます。
4.白血球除去療法の問題点
  この治療法にも、いくつかの問題点があります。
  1. すべての患者様に有効であるとは限りません。
    理由はまだ分かりませんが、炎症のタイプによっては無効なケースもあります。
  2. 比較的太い針を刺さないと、血液が抜けにくいので、血管の細い女性では治療が困難です。
  3. 日本では有効性が認められた治療法ですが、アメリカをはじめとした諸外国での臨床結果では、「有効でない」という成績も発表されており、まだ評価が分かれるという意見も存在します。
  4. 治療回数について、保険上の制約があります。無制限に行える治療ではありません。
 以上、「白血球除去療法」について、ご説明いたしました。
  「潰瘍性大腸炎」でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度当院消化器内科を受診下さい。
[TEXT by 池澤和人, 筑波記念病院 消化器内科]
※執筆者の所属は、執筆当時のものです。

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