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第15回:「バレット食道」とはなにか?
( 2004年12月07日 掲載 )
胃酸は、食べものを消化し、食事と一緒に胃の中に侵入した微生物を退治して、食中毒の発生を予防する、大切な、でも刺激性の極めて強い化学物質です。
胃の粘膜は、その胃酸の攻撃から自らを護る防御機構を有していますが、食道の粘膜は胃酸に対して全く無防備な構造です。したがって、胃から逆流して食道に流れ込んだ胃酸は、容易に食道粘膜に障害をおこします。 健康な状態では、胃と食道を接合する「噴門部」に胃酸の逆流を阻止する機能が備わっているため、通常の食道粘膜は胃酸からの攻撃を受けずにすんでいます。しかし、食道裂孔ヘルニアなどで、噴門の機能不全が慢性的に起きている場合では、逆流性食道炎の発生が避けられません。経年的な加齢にともなう前屈(背骨の折れ曲がり)も胃・食道逆流症をひき起こす重要な一因です。 長期にわたって胃酸からの攻撃を受けた食道粘膜は、組織の破壊と再生を繰り返すうちに、本来の細胞の構成とは異なる組織に置き変わってしまう現象が起きてきます。その結果、食道であるにもかかわらず、胃の粘膜に近い構造を有した粘膜組織が発生します(下図参照)。この現象が「バレット食道=バレット粘膜」と呼ばれています。いちどバレット食道の状態に陥ると、いかなる治療を施してもそれを改善するのは極めて困難です。
最近では、発癌の危険性が高い「前癌状態」と認識され世界的に注目されています。 「バレット食道」の患者さんの全員が、将来食道癌になるとは限りません。むしろ、発癌しない患者さんが圧倒的に大多数です。しかし、患者さんには「油断はできないので注意が必要」という内容の説明をしています。 現在の医学はいかなる部位の癌であっても、その発癌を阻止するまでには至っていません。すなわち、もし癌になってしまった場合は、いかに早い段階で癌を発見して治療を行うか、が最も重要です。 食道癌の早期発見にあたっては、内視鏡検査が一番有用であることはいうまでもありません。1年間隔でいいのか、もっと頻回に検査を行うべきか、まだ結論は出ておりません。大切なことは、微小な大きさの段階で癌を発見することであり、内視鏡専門医に検査を受けるべき、と考えます。 当院で内視鏡検査を担当する医師は、全員内視鏡検査経験年数10年以上のベテランであり、かつ全員が日本消化器内視鏡学会専門医、もしくは同等以上のレベルの技量を有しております。バレット食道にてお困りの方は、外来にて是非ご相談下さい。 [TEXT by 池澤和人, 筑波記念病院 消化器内科/日本消化器内視鏡学会指導医] ※執筆者の所属は、執筆当時のものです。
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