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◎ 大腸癌について
ここでは、大腸癌についてご説明させていただきます 。
1.大腸とは?
小腸から肛門まで続く筒状の腸管です。長さは、文献では平均135センチという報告がありますが、かなり個人差があります。主として水分およびミネラル(電解質)の吸収に預かっています。大腸をいろいろの特徴から結腸と直腸とに分け、結腸はさらにその場所によって盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸というように名前がついています。又、結腸を血行支配の点から体のほぼ右側にある結腸を右側結腸(盲腸と上行結腸、横行結腸の一部)、左側にある結腸を左側結腸(横行結腸の残り、下行結腸、S状結腸)と呼んで区別することもあります。
(写真はオリンパス(株) 大腸内視鏡パンフレットから引用) |
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2.大腸癌の発生
癌は大腸の粘膜から発生し、広がっていきます。癌の発生には癌遺伝子、癌抑制遺伝子などの遺伝子レベルでの異常が関係しているとされ、そこに食生活の欧米化にともなう、低線維食、高蛋白、高脂肪食などが促進因子(プロモーター)として関与しているものといわれていますが、まだ解明されていません。今後どんどん新しい研究成果が現れることが期待されます。わが国における大腸癌の頻度は増加傾向にあり、中でも結腸癌の増加が目立ちます。好発部位は直腸で、ついで多いのがS状結腸です。年令では60歳台が多く、男女差は男性にやや多くみられます。
3.大腸癌の進み方(進展形式)
進展形式は大きく4つ挙げられます。すなわち、直接に癌が大きくなる(直接進展)、リンパ管に流れこんでリンパ節に転移する(リンパ行性転移)、血行にのって肝臓などの臓器に転移する(血行性転移)、癌細胞がお腹の中で(腹腔内)散らばって発育する(腹膜播種性転移)があります。
4.癌の進み方の分類(進行度分類)
大腸癌を精密に分類し、進み方(進行度)を判定するための詳細な取り決めがあります。それに基づいて、正しく評価することによって、治療法を選択したり、治療効果を判定し、ひいては治療成績を向上させるよう努力しています。けれども、大変詳しい取り決めですので、ここでは早期癌と進行癌の違いを述べるにとどめます。腸の壁はいくつかの層からなっています。大きく分けると、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜からなります。広がりが粘膜下層内にとどまっているものが早期癌、粘膜下層を越えたものが進行癌です。皆さん方の早期、進行というイメージとはかなり異なると思います。しかし、早期であればそれだけ、根治できる可能性が高くなりますので、やはり早期発見が大切ということになります。
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| 5.大腸癌の形(肉眼的形態)
■ 早期癌0型:表在型
これをさらに・型:隆起型(I p:有茎性 I sp:亜有茎性 I s:広基性)II 型:表面型(II a:表面隆起型 II
b:表面平坦型 II c:表面陥凹型 III型:陥凹型
混合型(II a+II c, II c+II aなど)とに分けます。以下にその模式図を示します。
■ 進行癌
1型:腫瘤型 2型:潰瘍限局型 3型:潰瘍浸潤型 4型:びまん浸潤型 5型:分類不能型とに分けます。同様に以下に模式図を示します。
注:ポリープという表現がありますが、これは明らかな癌を除いて粘膜から隆起した病変を指します。従ってポリープには炎症性、腫瘍性(両性、悪性)など多くが含まれます。
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6.自覚症状
右側の大腸癌は症状が乏しく、貧血や軽い腹痛、お腹の調子が悪いなどの一般的な症状を表すことが多く、特有の症状というものはありません。ただ、時に癌そのものがしこりとして触ることもあります。一方、左側の大腸癌は便秘、下痢、便秘と下痢が交互に出現するなどの便通の変化や、血便などが主です。特に直腸癌は血便を示すことが少なくなく、これを痔だと自分で思い込んでそのままにしてしまうと危険です。
7.診断(内視鏡写真、注腸写真)
直接に診断する検査法は大腸レントゲン検査、大腸内視鏡検査および組織検査(生検)です。
左は大腸のレントゲン写真です。大腸を空にする前処置をした後に、肛門からバリウムと空気を注入して、レントゲン撮影する検査です。矢印の部分は直腸にできた1型の早期癌を示します。 |
左は同じ病変の大腸内視鏡写真を示します。直腸内腔に突出した隆起性の病変を示します。この病変の組織を一部採取して顕微鏡的に診断します(これを生検といいます)。 |
右の内視鏡写真は同時に発見された大腸ポリープです。この病変は癌ではなく良性腫瘍でしたが、癌化の可能性もあるため内視鏡で切除しました。いずれにしろ、早期発見が大切であり、既に述べた症状があって心配な場合はもちろん病院を受診することが必要ですし、無症状であっても健診、人間ドックを利用して早期発見を心がけていただきたいと思います。その他に補助的な検査として、CTスキャン、超音波(エコー)検査、血液検査(腫瘍マーカー)などが行われます。 |
8.治療
癌病巣を切除することが基本となりますが、進行程度によって切除の仕方もいろいろ考えられます。進行癌の場合は病変をもった腸を切除するとともに、関係するリンパ節(所属リンパ節)を摘出するのが基本的方針です。以下は一般的な考えに基づく治療法です。
■ 結腸癌の場合
・早期癌→内視鏡的切除
大腸内視鏡によって、病巣を切り取ります。
・腹腔鏡下腸切除
大腸内視鏡で取れないもの、とりきれず残ったものは全身麻酔下での腸切除となりますが、腹腔鏡という内視鏡を使って小さな傷で手術可能な場合があります。
・進行癌→開腹腸切除、所属リンパ節摘出
■ 直腸癌の場合
手術の仕方はたくさんありますが大きく分けると次の2つに分けられます。
・肛門を残す方法(肛門温存手術)
・肛門を切除する方法(肛門非温存手術)
直腸癌に関しては癌がある程度離れていれば肛門はとらずに直腸を切除してつなぐことができますが、癌が肛門に近接して存在する場合は肛門をとらなければなりません(直腸切断、人工肛門造設)。しかし、手術法の進歩とともに病巣が肛門のかなり近くにあっても、肛門を温存できるようになりました
・自律神経温存手術
さらに、従来手術中にダメージを受けやすい自律神経を温存することによって、術後の排尿の働きや性機能をできるだけ保つように努力されています。
■ 術後
手術的に病巣を切除した後に病巣を顕微鏡的に詳しく調べ、その進行度と手術の程度から根冶性を分類し、術後の補助療法の検討、術後経過に対する判断をします。
■ 癌化学療法
まだ、化学療法単独で決定的に有効な方法は確定していません。手術の補助的治療として行われるのが一般的です。
※ 最後に
病状、治療法、手術の方法、術後経過の見通し、術後の顕微鏡検査の結果、術後の補助治療の必要性などの大切なポイントは担当医が充分にご説明しますが、ご本人も不明な点は遠慮なく担当医にご質問されて、納得の上で治療をお受けになることが大切だと思います。 |
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[TEXT by 斎藤
節, 筑波記念病院 外科]
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