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141回:住み慣れた我が家は住みづらい?

 厚生労働省が発表するわが国の死亡原因の順位において、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎に次ぎ、不慮の事故が挙げられていました。この不慮の事故の中で高齢者の家庭内事故による死亡者数は、交通事故による死亡者数に比べはるかに多いという事実を耳にし、私は非常に驚かされました。住み慣れたはずの我が家で、なぜこれほどまでに事故が多発しているのでしょうか。

1.日本家屋の特徴
 日本独特の文化や風土が生んだ日本家屋の構造に着目して、その原因を探ってみます。
@段差の多い構造
一般的な日本の家屋では、玄関の敷居、上がりかまち、廊下と各室の段差、浴室、などいたるところに段差が見られます。また屋外にも飛び石や階段などがありますが、これは日本独特の風土や習慣を反映し、家屋構造や防犯等に配慮した結果であるのです。高齢者や障害者では、この段差が生活動作を困難にさせ、強いては活動範囲を狭め、自立した生活への意欲をも減退させてしまうこともあるのではないでしょうか。

A伝統的な基本寸法
日本の間取りや各部の寸法は伝統的に「尺(1尺≒303mm)」を基本とした尺貫法で構成されることが一般的でした。廊下・階段・出入り口などは3尺とされることが多く、これでは介護が必要な高齢者や、車椅子などの福祉機器を使用する人にとっては十分なスペースとはいえず、移動に支障をきたすことになります。

B狭い生活空間
わが国の住宅面積は他国と比べても狭小なものが多く、また住宅構造上の制限、個室を好む傾向があることから、各居室面積が狭くなっています。さらに多様な電化製品の普及が生活空間をさらに狭めているのです。このことが、介護や福祉機器の必要な高齢者や障害者の生活に制約を作ってしまうことがあるのです。

C負担の多い和式生活
和式トイレ、和式浴槽、畳上・布団での生活など、和式の生活では身体を上下左右に大きく移動させることが多く、身体能力の低下した高齢者にとっては危険度の高い動作も要求されます。

2.より安全で住みやすい家にするために
 高齢になっても、たとえ障害をもつようになっても、住み慣れた自宅や地域で家族や親しい人達とともに、暮らしていきたいと思うことは当然のことです。そのために、段差の解消、洋式生活への変更、介護サービスの導入、福祉機器の導入など、さまざまな方面から生活環境の調整を行い、在宅生活を安全に継続していくための手段を検討することがなされています。しかし、大きな改修や工事を行う前に、まず、屋内を整理整頓することで生活範囲を広く保つ、よく使うものを使いやすい位置へ、見やすい位置へと変更すること、照明を明るくする、危険な箇所が無いかを家族で話し合ってみるなどするなどして、日常生活内に潜む危険を回避することが、住みやすい我が家への第1歩となるのではないでしょうか。

[TEXT :八月朔日 千秋理学療法士}]

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