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◎ インフルエンザの脅威
■ 行政対応および感染経路
インフルエンザは感染症新法では定点把握(小児科、インフルエンザ定点の指定届出機関による、週毎の報告を要する)の四類感染症として取り扱われています。学校保健法では、解熱した後2日を経過するまで出席停止となる第2種の学校伝染病です。保育所や幼稚園でもこの学校保健法の規定に準じて解熱後2日を経過するまで登園停止とするのが順当と思われます。
感染経路は主に直接飛沫感染です。大きな飛沫(直径約5μ以上)の飛ぶ距離は通常1メートル以内です。咳、くしゃみ、会話などで周囲に飛散し、それを吸い込むことで感染します。インフルエンザウイルスを含む飛沫が水分を失い小さなものになると、飛ぶ距離が長くなり、長期間空中に漂って空気感染(飛沫核感染)をおこすこともあります。このため、直接の接触がなくても感染の拡大はおこりますので、十分な隔離対策が必要になります。
患者の鼻汁などを介しての間接的な接触感染もおこりますので、患者の鼻咽頭分泌物(いわゆる鼻水など)のついたものは、放置せずすぐに洗濯をするなどの注意も必要です。
■ 予防対策
予防策として、うがい、手洗いの励行、乾燥に対する対策(加湿器など)が行われます。高齢者や幼児などでハイリスクの人々については、予防ワクチンの接種が勧められます。インフルエンザウイルスはその伝染力が非常に強いことから、集団生活の場に侵入すると、大規模な集団感染をおこすことがあります。保育所のようなインフルエンザに対する免疫が十分でない幼児が集まる施設においては、施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要です。このためには流行の始まる前にできるだけ多くの子どもたちにワクチンを接種しておき、集団内の免疫力を高めておくこと。もしも施設内にインフルエンザ感染症が発生したときには、ただちに患者を隔離すると同時に、手洗いやうがいの励行などの対策を強化することが望まれます。
予防接種を受けてから、インフルエンザに対する抵抗力が十分な量に達するまでにはおよそ2週間程度かかります。またその効果が持続する期間はおよそ5ヶ月と言われています。このため、効率的に集団内の免疫力を十分なものとしておくためには、毎年、インフルエンザが流行する前の12月中旬までに予防接種をおえておく必要があります。流行の予測に基づいてその年のインフルエンザワクチンが生産され、使用できるようになるのは、例年では10月中旬のことが多いので、ワクチンが使用できるようになったら、できるだけ早めにワクチン接種を開始することがお勧めです。
施設の管理者や、健康管理を司る保育園園医などの責任者は、施設内の流行状況を逐一把握して適切な感染防御対策をたてる必要があります。また、施設内のみならず、地域のインフルエンザ流行状況を把握することも必要で、このためには国立感染症研究所感染症情報センターの感染症発生動向調査週報(IDWR
:Infectious Diseases Weekly Report http://idsc.nih.go.jp/kanja/idwr/idwr-j.html)などのインターネットによる情報公開を利用して全国的な患者発生状況を把握することも有用です。
インフルエンザに罹患した場合には、たかが風邪だなどと考えずに早めに医療機関を受診して治療を受けるようにします。これは、保育園職員や医療関係者について、ことに重要なことです。早めに治療するということは、自分のからだを守るだけでなく、他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変意味があることです。とくに、幼若乳児や高齢者などを含むハイリスクの人々に接する職業の人々は要注意です。病気をおしても頑張りましたということは決して美徳になりません。
安静にして、休養をとることも必要です。特に睡眠を十分にとることが大切です。空気が乾燥するとインフルエンザウイルスの飛散する範囲が拡がります。粘膜の防御能力が低下することも含めて、部屋の湿度を適切に保つことを心がけます。水分を十分に補給することも大切です。お茶、ジュース、スープなど本人の欲しがるもので結構です。嘔吐しやすい状態の時には、吐瀉物が喉に詰まりにくいという意味でも、また吸収が速やかなので嘔吐する前にかなりの量の吸収が期待できるという意味でも、いわゆるスポーツドリンクと言われる経口電解液が理にかなっています。
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[TEXT by 右田 琢生, 筑波記念病院小児科部長]
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