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◎ お酒と健康の密接な関係
[TEXT by 吉田 正, 消化器内科科長]

6.体にいいお酒の種類はあるのでしょうか?

 「そんなことを言ったって、いろいろと体にいいお酒ってあるでしょう?ほら、赤ワインはポリフェノールが入っているから体にいいはず」とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。大抵は「テレビのあの方が言っていたから本当だ」というのですが、本当でしょうか。お酒が体に良いという人たちの主張は次のようなものです。

(1)「赤ワインには血流を良くするポリフェノールが含まれるので体に良い」
 たしかにポリフェノールを摂取するのは体に良いのかもしれません。しかし、同時にアルコールも体の中に入っていくのですから、肝臓にはよいわけはありません。高脂血症と言われ、動脈硬化が気になる人は赤ワインを飲めば飲む程ポリフェノールが摂取できるので、血流が良くなると思われるかもしれません。しかし、実際には赤ワインを飲めば飲む程アルコールも摂取するわけであり、総合的に見れば脂肪肝や高脂血症、糖尿病が悪化し動脈硬化が促進されます。本当にポリフェノールを摂りたいのであれば、アルコールも糖分も含まないでポリフェノールを含んだ食べ物を探すしかありません。

(2)「焼酎は糖分が含まれないので日本酒より体にいい」
 たしかに焼酎は蒸留酒であり、日本酒より糖分を含んではいないかもしれません。しかし、焼酎はアルコール度数が日本酒よりも高いので、飲む量が同じならば焼酎のほうが肝臓に負担がきます。お湯や炭酸水で割って飲むとさらに飲み心地がよく焼酎の量も自然と増えます。さらに税制の問題から値段が安く、2.7リットルや4リットルなどの大きな容器で販売しているのも問題です。手元に大量のアルコールがあれば、必ず飲み過ぎます。実際に、アルコール性肝障害やアルコール依存症の患者さんの多くが焼酎を飲んでいます。低価格で高濃度のアルコールが手に入るという状況、手元に大量のアルコール飲料があるという状況を作っている焼酎に手をだすのはアルコール常習者あるいは依存症などの予備軍です。あるいは既に依存症になっているかもしれません。

(3)「ビールや発泡酒などはアルコール度数が低いから大丈夫」
 ビールや発泡酒のアルコール度数は確かに低いです。しかし、ビールや発泡酒を100ミリリットルや200ミリリットルぐらいでやめる人がいるでしょうか。最低350ミリリットル、多ければ2リットルかそれ以上を一度に飲む人もいます。そうなれば、アルコール度数が低くても摂取するアルコール量は多くなるので体に良いわけはありません。発泡酒についてはビールよりも低価格であることから、焼酎と同様に酒量が多くなる傾向があり、肝障害を助長する可能性があります。

7.検診や人間ドックで肝障害と言われたら

 検診や人間ドックで肝障害、高脂血症、脂肪肝、糖尿病などの異常を指摘された方でお酒を毎日飲んでいる方はお酒をやめてみて下さい。1か月我慢すれば検査値は改善してくることでしょう。たとえビール350ミリリットルであっても毎日飲んでいれば肝障害を起こすことがあります。ましてやもっとアルコール度数の高い焼酎や日本酒を毎日飲んでいれば肝障害を起こすのは当たり前です。お酒を飲みながらアルコールによって引き起こされた身体の異常を治す方法はありません。「酒を飲んでいるけど、肝臓が悪いといわれたから肝臓の薬を下さい」という方がいらっしゃいますが、アルコール性肝障害の場合、薬を飲む必要はないのです。お酒を止めればよいのです。運良く肝硬変になっていなければ、それだけで治ります。景気が悪く、健康保険が破綻しかけている現在、お酒を止めることだけで体がよくなるのならば、治療費や通院費もかからず、お酒代もかからなくなり、健康保険からの支出を減らすことに協力できるわけですから、非常にいいことだと思いませんか?

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[TEXT by 吉田 正, 消化器内科科長]