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◎ お酒と健康の密接な関係
[TEXT by 吉田 正, 筑波記念病院 消化器内科]
8.お酒のやめ方

 「肝臓が悪いと言われたから、酒の量を減らした。」という人がいます。それは間違いです。酒の量を減らしたつもりでも、毎日酒を飲んでいれば、そのうち酒の量が増えて元通りになることが多いのです。未練がましく酒の量を減らすよりは、思い切り良くお酒をやめてしまった方が、肝臓は早くよくなります。肝臓でアルコールを分解する酵素は、常にアルコールを分解し続けるとその酵素の働きが活発になりどんどんアルコールが飲めるようになってしまいます。しかし、アルコールを飲まなくなれば、酵素の働きも弱くなってアルコールの飲める量が減って来ます。したがって、お酒を一時的にでもやめることが大事なのです。

 1日や2日は止められるけれど、それ以上はきついという方がいます。多少なりとも常習的にアルコールを飲んでいる人は、禁酒をすると2日めから5日めぐらいにお酒を飲めないことにイライラしてきます。そして夜も眠れなくなります。これはアルコールの禁断症状です。このような症状が出るというのならば、あなたは多少なりとも依存症でしょう。でもここが我慢のしどきです。この最初の1週間を切り抜けると、あとは楽になります。最初の2週間を越えられれば、まず8割ぐらいの方は禁酒に成功するでしょう。どうしても辛ければ、医師と相談して精神安定剤や睡眠導入剤を処方してもらっても良いと思います。アルコールの害よりはこれらの薬物の副作用の方が心配は少ないです。1か月禁酒をする、とか2か月禁酒をするとかという目標をたてることはお勧めしません。これは自分でここまで我慢すればいいというゴールを設定することになります。禁酒はゴールのないレースなのです。1か月禁酒してもその後また常習的に飲みはじめたら元の木阿弥です。目標を決めずに今日だけは禁酒しようと思いながら毎日を過ごした方が、成功率は高いようです。ではいつまで止めればよいのでしょうか? できれば一生止めればよいのですが、そうもいかないこともあります。少なくとも、血液検査で異常がなくなるまでは止めてください。

 よくご家族が、「酒をやめさせたい、やめさせてくれ」と相談にくることがあります。それにはご家族が頑張らなければ駄目だと説明しても、「私が買わなくてもこの人は勝手に酒を買ってきてしまう。」とか、「近所の友達と飲んでしまうからやめさせられない」といいます。しかし、それはいいわけに過ぎないと思います。勝手にお酒を買うといってもお金がなければ買いにいくことはできません。お金を渡さなければいいのです。友達のところで飲んでしまうというのなら、友達の所に乗り込んでいって、酒を飲ませないようにお願いしたことはあるのでしょうか。本当にご家族が大事ならばとにかく、自分たちもお酒をやめさせる努力が大事です。

9.どういうお酒の飲み方がよいのか。

 肝臓に良い飲み方(健康的に酒を飲む方法)はないというのが私の考えです。では俗に言う健康的にお酒を飲む方法というはどういうことなのでしょうか。それはアルコールによる肝障害が出にくくするための対症療法でしかないのです。

 「アルコールと一緒にこのようなものを食べると良いですよ。」と言う人がいます。しかし、アルコールだけでもカロリーとしては摂り過ぎの所にさらに何か食べたら栄養の過剰摂取となります。アルコールの分解に必要なビタミンをとりなさいというのなら、アルコールを最初から飲まなければそのようなものを摂らなくて済むのです。

 「週に1回は休肝日を作りましょう。」という人がいます。しかし、アルコールの肝臓での分解速度はひとそれぞれです。少なくとも6日間飲んだアルコールの負担が1日で改善するわけはありません。また、ある人で肝臓に障害が起きない量であるからといって、自分に肝障害がおきないということはいえません。実際にビール1リットルを毎日飲んで肝機能の異常がない人もいれば、350ミリリットルを毎日飲んで肝機能異常となる人もいます。アルコールを飲むと言うことは多少なりとも自分の体に毒物を入れることです。その量が自分の許容量より少なければ幸いに肝臓に障害が起きないが、自分の許容量を超えた場合には毒として作用し、肝臓に障害を起こします。

 では、アルコールを飲んでも肝臓にそれほど負担がかからない飲み方はあるのでしょうか。それは、必要なとき以外飲まないということです。たとえば、宴会や祝い事などの付き合いでどうしても飲まなければならないとき以外は飲まないことです。こうすればアルコールと一緒にどういうものを食べようがそれほど関係はありません。1回に飲む量は、気分がよくなったらやめることです。晩酌などの常習的な飲酒は必ず肝臓を悪くします。曜日を決めて週に1日か2日ぐらいにすることをすすめます。平日の5日間お酒を飲まないで週末だけよく頑張った自分への褒美として酒を飲む、というのはどうでしょうか。そのときには、今まで晩酌で飲んでいた量かそれよりも少し多めに飲んでも良いと思います。なぜなら、たとえば、毎日350ミリリットルのビールを飲む人がいるとします。その人の1週間に飲んだビールの量は2450ミリリットルとなります。でも、この人が6日間お酒をのまずに、1日だけ1リットルぐらいのビールを飲んだらどうでしょうか。1週間に飲んだビールは1リットルだけです。毎日350ミリリットルで我慢しているようにみえても実際には1週間に1回だけ飲んだ人よりも飲んでいるのです。「毎日お酒は飲まない。飲むときには多少多くても、飲む回数は1週間に1回ぐらいにする。」これが比較的肝臓に負担をかけない飲み方のようです。

10.絶対お酒を飲んではいけない人。

 決して酒を飲んではいけない人たちがいます。それは慢性肝炎や肝硬変、慢性膵炎と診断された方です。この方たちはアルコールが明らかに病気を進行させます。とくに、肝炎の人は早く肝硬変となり、そこから肝臓癌ができやすくなります。これらの人たちは付き合いでも何でもお酒を飲んではいけません。

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[TEXT by 吉田 正, 筑波記念病院 消化器内科]