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ここ数年来、オゾン層の破壊のため有害な太陽光線が地表で増加し、皮膚あるいは目に重大な影響をあたえることが懸念されています。太陽光線のうち地表には波長290〜400nmの紫外線(UVA,
UVB)から波長400〜760nmの可視光線や赤外線(_760nm)が届いています。この中で特に皮膚に有害な影響をあたえるのが紫外線です。紫外線量は春から夏にかけて増え始め、1年のうちで7月,8月はピークを迎えます。また1日のうちで昼の12時から1時がピークになります。
皮膚が太陽光を浴びると、数時間で赤くなってきます。この反応は24時間ぐらいがピークで、2〜3日もすれば褐色の色素沈着がはじまります。この変化をサンバーン、日焼けと呼んでいる訳です。皆さんは赤くなっても、またそのあと少し黒くなっても皮膚には何ら悪い変化は起きていないと思われるかもしれません。けれども、この日焼けを何十年も繰り返していますと、やがて皮膚には太陽紫外線による慢性反応として明らかに目で認識できる不都合な変化が出てきます。その変化というのがシミ、シワ、さらには皮膚の腫瘍です。
紫外線がシミの原因になることは知っているけれど、シワも?と思われるかもしれません。長年にわたり日焼けを繰り返した皮膚の真皮はコラーゲンやエラスチンが変性を起こし、張りのない硬い皮膚になり、シワとなってしまいます。また皮膚に日焼けがおこる時、特に紫外線Bにより皮膚の表皮細胞のDNAに傷がつきます。私たちの細胞は修復酵素を使ってせっせとこの傷をなおしているのですが、問題はこの修復がうまく行われずに遺伝子の突然変異を起こすことがあり、これにより皮膚の腫瘍が生じると考えられています。顔にできる皮膚の腫瘍の多くは老人性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれる良性のイボですが、命にかかわる皮膚癌ができることもあります。
昔から日焼けをした肌は健康のしるし、のように思われてきましたが、決してそんなことはありません。紫外線によって痛んだ肌は皮膚癌の元にもなる、不健康な皮膚なのです。太陽に当たらないとビタミンDが不足するのではないかと心配される方もおられるかもしれませんが、ご心配いりません。生活紫外線といって普通の生活をしている上で皮膚が浴びる紫外線で体に必要なビタミンDは十分に作られることが分かっています。

では屋外で楽しんだり、お仕事をしたりするときはどうしたらいいのでしょうか。若いときから(できれば赤ちゃんの時から)思いきって日焼け止め(サンスクリーン剤)を使うことがお勧めです。日焼け止めにはSPFという表示がありますが、これはsun
protection factorといって、日焼け止め効果の指標です。例えばSPF15というのは10分間日光に当たって赤くなる人はその15倍、150分位で赤くなるということです。屋外での活動時間にあわせた日焼け止めを選び、また汗、プール、海などで落ちやすいときは1日に何度も塗り直すことが大切です。農業などで屋外でお仕事をされるときにはサンスクリーン剤に加えて紫外線カットの帽子や、長袖のシャツなどをご使用になるのが良いと思われます。一般に白い服に比べて黒い服のほうが紫外線をカットする率が高いのですが、黒い服のほうが熱を吸収しやすく夏は暑くなりやすいのでご注意下さい。
またビタミンC、ビタミンE、β−カロチンは抗酸化作用を有し、紫外線による皮膚の酸化を防ぎ、シミをできにくくします。これらの物質を日頃から充分に摂取していただくことも大切です。一度できてしまったシミを消すのはなかなか困難なことです。これからの季節、紫外線を上手に防いで健康な皮膚を保ちましょう。
[TEXT by 市川栄子, 筑波記念病院 皮膚科]
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