このホームページ宛に、いろいろなご相談のメールをいただくことがあります。これらの中には、いわゆるセカンドオピニオンを求めて、メールをいただいている場合が少なからずあるようです。メールをお送りいただいた場合に、私どもは、できる限り迅速に、きちんとお返事を差し上げられるよう努力をしています。しかし、メールのやりとりで正確なセカンドオピニオンの機能を果たすことは、とても難しいことです。そこで、セカンドオピニオンとはどういうものであるのかをまとめてみました。ご参考になれば幸いです。
セカンドオピニオンとは、文字通り、「二番目の意見」というわけで、今かかっている医師とは別の専門家に意見や判断を求めることを指します。そうして、患者様方の意志決定に役立っていくことが目的となります。
セカンドオピニオンを求めることがとくに有効なのは、次のような状況のときです。
1)生命に危険が及ぶ恐れがある疾患に対する治療方針を選択するとき
2)毒性の強い治療を受けるかどうかの態度を決めなければならないとき
3)危険を伴う手術などの処置を受けるかどうかの判断
医師はすべての病気について完璧な知識を持ちあわせている訳ではありません。このために、診断が正確かどうか、その分野の専門家の意見を求めたい場合もあります。このような、簡単には決着がつけられない事柄について、十分にいろいろな意見を聴いた上で、患者様が自らの意志を決めていただくというところに、セカンドオピニオンの意義があります。
きちんとしたセカンドオピニオンを求めるには、当事者である患者様が現在どういう状況であるのか、患者様の病気の種類や重症度などについての正確な情報が不可欠です。手術を受けるかどうかのご相談であれば、患者様が手術に耐えられるような体力がおありなのか、どのような手術が予定されているのかなど、細かな状況が分からないと、適切なアドバイスを引き出すことはできません。
セカンドオピニオンをうまく受けていただくためのコツとしては、まずなんといっても、主治医の先生に良くお話を聞いてみられることです。きちんと説明をしてくれない先生には命を預けられませんよね。ご本人や、ご家族の方々が疑問に思っておられることを、十分に納得がいくまで聞いてください。そうした上で、他の関係者の意見も聞いてみたいと思われたら、セカンドオピニオンを聞いてみたいので、現在の状況をまとめた紹介状のようなものを書いて欲しいとお願いしてみてください。
場合によっては、こういったことがお願いしにくい雰囲気があるかもしれません。しかし、本当は患者様側の正当な権利なのです。かかっておられる先生が、自分の手術方針や診断に間違いがないと自信を持っておられるのであれば、第三者にセカンドオピニオンを聞いてもらうことで、自分の判断が正しいと確認してもらえると考えて、そういったものを喜んで書いてくださると思います。
もちろん、そういうものがないからといって、セカンドオピニオンを受けることがまったく不可能というわけではありません。次善の策として、ご本人を診せていただいたり、詳しい状況をうかがえば、それなりのアドバイスを受けることは可能です。しかし、主治医の先生の方針が分かったり、現在の状況、検査データなどの情報がある方がより適切なアドバイスを受けられるのは言うまでもありません。
患者様方が、説明を受けた内容が十分に理解できないまま、中途半端な気持ちで方針を決めることは得策ではありません。医療には、いつも危険が伴います。手術などを受ける場合、その結果がいつも期待通りになるとは限りません。良く了解しないまま手術を受けた結果が思わしくなければ、あとで大変後悔することになります。手術を受けることによるメリットと、手術を避けたことでおこるデメリットについて、良く説明を受けておかれることです。
ひとつの例として、無症候性未破裂脳動脈瘤というものをあげてみます。脳ドックなどが普及してきて、検査の結果、脳内の動脈に瘤(こぶ)が見つかることがあります。瘤は見つかったものの、それによる症状は、今のところはないという状況のときにどうすべきかということが問題です。万一、その瘤が破裂すると、大出血をおこして命取りになったり、重い後遺症を残したりする可能性があります。高血圧や動脈硬化のある方は、とくに破裂する危険性が高く、いつ何時破裂してしまうかもわかりません。一方、脳外科医により、瘤の根本にクリップをかけるなどして瘤が破裂しないようにする手術を受けることができます。しかし、手術中に瘤が破裂したり、出血を起こす危険があり、百パーセント安全な手術とはいえません。瘤のある場所や大きさなどで、手術が可能かどうかや、成功率も大きく違ってきます。さらに、手術を受けられる方の年齢や体力、動脈硬化や高血圧などの危険因子の有無なども手術成績に影響を与えます。これらの因子は、放置した場合の危険率にも影響します。そういうことをふまえて、手術を受けるのが良いことかどうかを総合的に判断をしなければなりません。
放っておいても危険があり、手術をするにしても危険があるという難しい判断となるわけです。患者様は、手術を実際に担当して下さる先生の説明だけでは、手術を受けるかどうかの意志を決めにくいことがあるかもしれません。このような時に、セカンドオピニオンを活用して、その手術をしていただく先生の力量なども聞かれれば、自信をもって、意志決定をすることができます。こういった、難しい意志決定が必要な場面において、セカンドオピニオンが役に立ちます。
電子カルテを含めた医療情報の電子化、共有化が大きな時代の流れとなりつつあります。セカンドオピニオンは、この流れの中で大きなウエイトを占めるようになってきています。医療情報の電子化が進み、検査結果やレントゲン写真などが、どこでもすぐに見ることが可能になれば、セカンドオピニオンを受ける場合にも、患者様の状況が十分に把握され、正しい見解をもらえる可能性が高まります。また、地理的な条件で、今までは困難であった、遠隔地の専門医、場合によっては外国の専門家によるセカンドオピニオンを求めることも可能になってきます。医療のグローバル化が進むことで、セカンドオピニオンの重要性もますます大きくなってきます。このようなことも視野に入れて、当院では、新しい医療態勢に対応できるよう努力を続けております。
[TEXT by 右田 琢生, 筑波記念病院 院長補佐]
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