ちょっと前の話になりますが、天皇陛下が前立腺癌の手術をうけられたことはみなさんご存じかと思います。そのためか、最近テレビや新聞で、前立腺癌の話題が多くなっており、その中で、PSA検査ということばをよく聞かれるかと思います。ここでは、PSA検査を含めた前立腺癌についてのお話をしたいと思います。
■前立腺癌とはどういった癌か
前立腺とはなにかと言いますと、膀胱の出口にあり、尿道を取り囲んでおり、正常ではクルミ位の大きさの臓器です。男性だけにあり、精液の一部を作っていると言われています。その前立腺から発生する癌が前立腺癌です(前立腺肥大症は前立腺の良性腫瘍です)。
■急激に増加している前立腺癌
前立腺癌は、これまで日本ではあまり馴染みがなかった癌かもしれませんが、欧米では非常に多く、米国では男性にできる癌の中で、発生数第1位、死亡数第2位です(ちなみに死亡数第1位は肺癌です)。日本でも最近非常に増加しており、死亡数は2015年には1995年の約3倍に増加すると推定されています。この死亡数増加率は、すべての癌の中で最も高くなっています。この急激な増加には、食生活の欧米化が深く関わっていると言われています。
また、前立腺癌の特徴として、高齢者の癌であり、比較的進行が遅いということがあります。その発症、進展には、年齢、男性ホルモンが深く関わっていると言われています。
■早期発見を実現するPSA検査とは
こういった話を聞くと、男性の方は前立腺癌が心配になってくるかと思いますが、早い段階で発見し治療すれば、高い生存率が得られることが分かっています。そこで、早期に前立腺癌を発見することが大切になってきますが、前立腺癌の場合、早期には症状が出ないことが多く、以前は早期発見が非常に難しい癌でした。しかし、近年PSA検査というものが登場し、前立腺癌の早期発見が可能になりました。
PSAとは、Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原)のことで、前立腺から出ている蛋白質の1つです。血液で検査し、前立腺癌の場合にはこのPSAが上昇します。米国ではPSA検査が普及し、前立腺癌の死亡率は年々減少しています。日本では前立腺癌の死亡率は増加していますが、これを減少させるためにはPSA検査を普及、定着させることが重要と考えられます。実際に、前立腺癌は検診での発見率が高い癌で、数年前のデータになりますが、検診での前立腺癌の発見率は0.86%であったのに対し、胃癌は0.14%、大腸癌は0.15%、乳癌は0.09%、肺癌は0.05%、子宮頚癌は0.07%、子宮体癌は0.11%でした。
PSAが高値で前立腺癌が疑われる場合には、生検といって前立腺の組織を採取し調べる検査が必要になります。
最近は日本でもPSA検査が普及しつつあり、早期に前立腺癌が発見される方が増えてきています。 50歳を過ぎた男性には、年に1度のPSA検査をお勧めいたします。
どうぞお気軽にご相談下さい。
[TEXT by 鈴木正彦, 筑波記念病院 泌尿器科]
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