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◎インフルエンザ

 冬になると、いろいろな「風邪」がはやります。中でも、インフルエンザは成人でも寝込んでしまうように症状が強く、肺炎などの合併症を起こして死亡率を上げることがあって要注意の病気です。インフルエンザを起こすインフルエンザウイルスは直径が1万分の1oと大変小さく、患者さんの咳やくしゃみなどによって飛ばされる飛沫の中に含まれて飛散します。通常は飛沫感染で、半径2メートル以内で飛沫を浴びると感染が起こると言われています。冬になって空気が乾燥すると、飛沫の周りの水分が失われて、もっと遠くまで飛んで広い範囲に感染をおこす可能性も指摘されています。

 咳エチケットといわれる、感染を広げないために守っていただきたい心がけがあります。
@ 咳・くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から
   顔をそむけ1m以上離れる。
A 呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの
   廃棄物箱に捨てる。
B 咳をしている時にはマスクを着用する。
C マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。

 マスクさえすれば大丈夫と思われる方が多いのですが、マスクは咳やくしゃみをしている人が、ウイルスを含む飛沫を周りに撒き散らさないためには意味がありますが、ウイルスをもらわないようにするための予防目的で考えると、ウイルスのサイズが非常に小さく、通常のマスクでは空気の通る隙間を難なく通り過ぎてしまいますので過信はできません。N95マスクという隙間が緻密で、結核菌の大きさの病原菌であれば、95%をカットできるマスク(このためN95という名前がついています)もありますが、空気の通る隙間が小さく、マスクをきちんとつけた際には、息をするのがとても困難で、長期間つけたままで作業できるようなものではありません。また、マスクの周囲をきちんと密閉しなければ周りからウイルスを含んだ空気が入ってきてしまいますので、正しい装着が必要です。

 インフルエンザの症状は高熱が目立ちますが、倦怠感や頭痛、筋肉痛などが強く、肺炎や気管支炎、脳炎、心筋炎、筋炎などの合併症を起こすことも多い病気です。幼児期や学童期の子どもたちが集団生活などで感染をし、自宅で周りの大人たちにうつして広がることがあり、65歳以上の高齢者の方々が、肺炎などの合併症をおこして亡くなる原因ともなります。
 予防には、なんと言っても予防接種が一番で、インフルエンザの流行が始まる前の11月から12月前半までに、ぜひ受けるようにしてください。

 現在、冬に流行している、普通のインフルエンザウイルスが、鳥に強い病原性を示す高病原性鳥インフルエンザウイルスと混ざって新型のインフルエンザウイルスができあがり、高い病原性を持った、ヒトからヒトへ感染するウイルスの出現が心配されています。このような新型インフルエンザウイルスが大流行を起こすとパンデミックと言われる状況となり、社会全体に深刻な被害をもたらす可能性があります。このような事態を招かないようにいろいろな対策がとられていますが、万一に備えて、皆さんの家庭でも準備しておかれたらよいと思います。これらについても、今回のよもやま話で取り上げました。

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[TEXT by 右田琢生, 筑波記念病院 副院長・小児科部長]