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下肢静脈瘤

 主に“あし”(下肢)の表面に青く見えている血管(静脈)が太くなり、多くの場合はくねくねと屈曲・蛇行している状態を、「下肢静脈瘤」といいます。

 足のふくらはぎの筋肉が収縮すると、静脈は筋肉に圧迫され、血液は上へ押し上げられるため、下肢の静脈血は重力に逆らって、心臓にもどっていきます。また、静脈内には「弁」があり、逆戻りしないような工夫が施されているので血液は下から上に進みます。多くの静脈瘤は、この表面にある静脈(特に大伏在静脈や小伏在静脈)の「弁」が壊れて発生します。「弁」が正常に働かないと、血液は逆流することになり、あしの下の方に血液が溜まり、その結果静脈は拡張し、静脈瘤ができてきます。つまり、大伏在静脈・小伏在静脈・穿通枝の静脈弁の不全が下肢静脈瘤の原因です。

 下肢静脈瘤の三大要因は、(1)立ち仕事、(2)妊娠・出産、(3)遺伝です。立ち仕事のなかでも、下肢の筋肉を使わない状態、つまり棒立ちの状態が下肢の静脈に負担がかかります。理容師・美容師・調理師・板前さん・店員さんなどが下肢静脈瘤になりやすい職業です。 また、出産では第2子・第3子を出産された後におこりやすいと言われます。ご両親が下肢静脈瘤の方はやはり下肢静脈瘤になりやすいようです。出産が誘因のひとつであるため、女性に多いと思われますが、男性にもよく見られます。

 症状としては@足がだるい、重い、A足が疲れやすい、B足が痛い、C足がむくむ、D足がつる、E足がかゆい、F足がほてる、G足がピリピリする、などがあります。ただ自覚症状のない方も多いですが、下肢静脈瘤が進行することによって上述の症状に加え、@足の湿疹、A色素沈着、B皮膚潰瘍、C出血、D血栓性静脈炎、E肺動脈血栓性塞栓症(エコノミークラス症候群)のような治りにくい合併症がでてくることもあります。

 治療法には、(1)弾性ストッキングの着用、(2)硬化療法、(3)手術があります。基本的には弾性ストッキングを着用していれば下肢静脈瘤の進行を防ぐことはできますが、この病気を治すものではありません。やはり根本的な治療は手術になります。

 日常生活での注意としては、弾性ストッキングの着用と同時に、下肢に血液が溜まらないように、長時間の連続した立ち仕事は避けるようにしてください。また、立ち仕事中は1時間の仕事に5〜10分間は、あしを心臓より高くして休息しましょう。休息がとれない方は、足踏みをしたり、歩き回ったりしてください。足の筋肉を使うと、筋肉のポンプ作用で静脈環流がよくなります。さらに、夜寝るときには、クッションなどを使用し足を高くして休みましょう。下肢の清潔を保つこともとても重要です。

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[TEXT by 末松義弘, 筑波記念病院 心臓血管外科部長]