◎転倒予防とリハビリ体操
高齢者では筋力の衰えやスムーズな関節の動きが妨げられやすくなります。したがって転ぶことが多くなる傾向にあります。今回は転倒の背景や転倒によって生じる諸問題などを解説し、その対策として簡単にできるリハビリ体操の実践について紹介しました。
1.転倒と障害

図1 高齢者の転倒により生じやすい骨折の部位 |
東京消防庁の定義における“転倒”とは、『同一面上でバランスを失い倒れて受傷したもの』をいいます。
転倒による受傷の代表的なものには骨折、打撲、切創・擦過創、捻挫、筋・靭帯損傷などがあります。これら受傷した障害のうち最も多いのは骨折で4割を占めているというデータもあります。 転倒による骨折は身体の筋力や体力をより低下させます。特に高齢者が骨折をすると寝たきりを招くこともあります。
高齢者の転倒により生じやすい骨折の部位は図1に示すとおりです。
2.転倒を生じさせる背景
転倒を生じる背景にはいくつかの因子が複合的に作用して起こります。
大きく分けると内的因子と外的因子に分かれます(図2※1)。内的因子は歩行能力の低下に影響し、外的因子や転倒の既往といったものが重なり転倒が発生すると考えられます。
ちなみに転倒を生じやすい方の5つの特徴があります。過去1年の転倒経験が複数回ある場合、背中が猫背(円背)になっている場合、歩行速度が遅い(1秒以上/1m)場合、杖などを使用して移動している場合、1日に5つ以上の薬の使用している場合があります。このうち1つでも該当する方は注意が必要と思われます。参考にしてください。

図2 転倒を生じる背景
「家庭内における救急事故の予防について」調査研究委員会報告書(1999年)より引用 |
3.転倒予防に役立つリハビリ体操の紹介(※ここでは一部を紹介させていただきます。)※2)
例1.体の柔軟性とバランスアップ(歩行能力を高める)の方法

☆体操のポイント☆
・椅子に深く座り,背すじを伸ばす
・肘を曲げ,胸の前で保持する
・膝が反対側の肘につくように左右交互に2回ずつ上げる (左膝→右膝→左膝→右膝)
・1日1回行う
・膝を上げる時に息を吐くようにする
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例2.膝周囲の筋力を鍛える方法

☆体操のポイント☆
・椅子に深く座り、背すじを伸ばす。
・右足の下に左足をすくうように入れる。
・息を吐いて、吸った後、息を吐きながら5〜6秒間、下の足で上の足を上げるように、
上の足はそれを押さえるようにからませて力を入れ、思いっきり押し合う(1回)。
・同様に反対方向も行う(左足の下に右足)。
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※注意:体操により痛みや気分の不調がある場合には無理をしないでください。
《引用文献》
※1 「家庭内における救急事故の予防について」調査研究委員会報告書(1999年)
※2 大田仁史:目でみる介護予防 いきいきヘルスいっぱつ体操、医歯薬出版(株)、p43,77
《参考文献》
田邊康二:介護のための運動機能、荘道社、2007年、p4〜9
《協力施設》
茨城県立健康プラザ (〒310-0852 茨城県水戸市笠原町993-2)
[TEXT by 田邊康二, 筑波記念病院 リハビリテーション部主任/専門理学療法士]
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