肥満は万病のもとと言われますが、肥満に加えて、高脂血症、高血圧、高血糖などを併せ持つ人は、動脈硬化、すなわち、脳卒中、心臓病などを非常に高率に発症することが知られています。近年、国内の7学会が合同で、肥満を中心とする「メタボリック・シンドローム」の診断基準を発表しました。
肥満の中でも、内臓に脂肪がたまる内臓肥満は、皮下脂肪がたまるタイプに比べ、より合併症を起こしやすく、動脈硬化に結びつきやすいことが知られています。
内臓脂肪がたまった人は、上半身肥満、リンゴ型肥満という体型を示し、男性に多い肥満です。一方、皮下脂肪が多いタイプは、下半身肥満、洋ナシ型肥満という体型を示し、女性に多い肥満です。

内臓脂肪は、断面積において100平方pを超えると合併症が起こしやすいと考えられており、男性ではウエスト周囲径(お臍の高さで測ったウェスト周り)が85p以上、女性の場合は90p以上がこれに相当すると推定されています。
○内臓肥満:ウエスト周囲径 男性85p以上、女性90p以上
・高脂血症:トリグリセライド150mg/dl以上、
またはHDLコレステロール40mg/dl未満
・高血圧:最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上
・高血糖:空腹時血糖値110mg/dl以上
「内臓肥満」に加え、高脂血症、高血圧、高血糖の3つのうち、
2つ以上を併せ持つ人が「メタボリック・シンドローム」と診断されます。
メタボリック・シンドロームの人は、「太っている」という美容上の問題ではなく、「肥満症」という病気を持っていることになりますので、運動量や仕事量に見合った「適切な食生活」を心がけ、積極的に生活改善を行い、肥満の解消に努めるようにすることが必要です。
健康的な体重は、pで表した身長から100を引いて、これに0.9を掛けて得られます。
標準体重={身長(p)-100}×0.9(s)
すぐには標準体重になることができなくても、まずは、現在の体重から5%、10%を減らすだけでも、健康によい効果があります。
体重を改善するためには、1日の消費量に見合った、適切な食事をとることです。
仕事の内容によっても異なりますが、およそ、標準体重1sあたり、30 kcalをとることが適切と考えられます。標準体重が50kgの人は1500 kcal、60kgの人は1800
kcal、70kgの人で2100 kcalになります。
肥満をなくし、明るい老後を迎えましょう。
[TEXT by 松島照彦, 筑波記念病院 副院長・代謝内科部長]
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