自家中毒という病名は、なにか食あたりをして中毒をしたという意味ではなく、小さい子ども達が嘔吐下痢などが続いて食事を十分に摂れないときにおこるアセトン血性嘔吐症のことを、昔、ドイツ医学が主流であったころに、ドイツ語でオート(自分の)トキシコーゼ(中毒)と言っていたので、その直訳で使われた病名です。
悪いものを食べておこる中毒ではありません。十分に栄養が摂れないときに、やむをえず、自分の体の中に貯蔵してある脂肪を非常用の燃料として使い、体温を保ったり、体を動かしたりするのですが、この時にでてくる代謝産物(燃えがら)がアセトンといわれる物質で、これが体の中に増えると、気持ちが悪く、吐き気がして、頭痛や腹痛の原因となります。このため、食欲が湧かず、ますます栄養摂取が不足して、また脂肪の分解が進みアセトンが増加してしまうという、悪循環におちいります。
二日酔いで気分が悪いときにも、このアセトンが増加していると言われています。この病態になっている子ども達は、大人の二日酔いのような苦しさを味わっているわけです。
対策としては、重症の場合には、点滴をして、ブドウ糖を注射すると、燃料補給になり、アセトンの生成が抑えられ気持ちの悪さが改善します。それほどの重症でなければ、気持ちの悪さをこらえて、少しずつ糖分や澱粉質のような炭水化物を摂るようにします。吐き気が強い時には、医師の診察を受けて、食べても良いかを確認してから食べさせるようにしてください。うまく栄養が摂れるようになれば、脂肪の分解が止まり、気持ちの悪さが取れていきます。状態が良くない時には、脂肪の多い食べ物を控えることも肝要です。食事が十分に摂れない時に、牛乳だけを飲むのは、牛乳の中に乳脂肪が多い(3.7%とか書いてありますね)ことからうまくありません。
一度、このような病態になったお子さんは、小学校に上がるころまでには、このような病態になることを繰り返すことがあり、対策を知っておいていただくと良いと思います。