小児におけるコレステロールの年齢変化については、出生直後の新生児では、成人のおよそ半分以下の値をとり、生後5-6日で出生直後の値の約2倍(成人の約80-90%)となり、その後、徐々に増加して生後5ヶ月位でほぼ成人の値に達し、その後はあまり変化がないという報告があります。したがって、乳児期以降の子どもたちでは、とくに成人と違う値を考慮する必要はありません。
ただし、高脂血症の目安となる値については、次のように考えています。
成人において220mg/dl以上を高脂血症としてとらえることが多いのですが、この値を越えると虚血性心疾患の発症頻度が急に増加するので、この値を越えないように食事や薬剤などでコントロールしようということであって、この値以下が正常であるという意味での正常値の上限ではありません。ですから、小児においてコレステロール値の分布が成人と同等であるからといって、単純に成人における220mg/dlを管理の目安とすることは妥当でありません。
現在、小児においては、総コレステロール200mg/dl以上、LDLコレステロール130mg/dl以上、トリグリセリド150mg/dl、HDLコレステロール40mg/dl以下の場合を高脂血症としていることが多いようです。成人よりも若干低い値でも要注意として扱うことになります。これは、小児期から高いコレステロール値を続けることは、成人よりもより危険が大きいという判断に基づくものです。正常小児の血液をたくさん集めてその分布範囲をみて正常値を決めているのではないことを強調しておきます。
小児の高コレステロール血症で問題となるのは、遺伝的な因子でおこる、家族性高コレステロール血症の場合です。この場合には、若いうちから動脈硬化をおこし、虚血性心疾患や末梢血管障害などにつながってきます。この病気の場合には、家族の方々に同様の高コレステロール血症が見られることなどから、主治医が把握しておられると思います。この場合にも適切な食事などで動脈硬化などの発症をできるだけ遅らせるような努力がなされますが、いずれ薬物療法が必要になる可能性が大です。
こういった遺伝素因のある場合を除けば、適切な食事管理と運動をきちんとすることなどで、良いコントロールが可能です。
(最終更新日:2004年11月15日 18:53)■生後まもなく貧血で一週間入院し、その後1ヶ月、3ヶ月検診では検査をしましたが、入院はしていません。特に問題がなければよいのですか?
通常赤ちゃんは大人よりも血液が濃い(貧血の反対の多血)状態にあります。これは、生まれる前に赤ちゃんはお母さんの血液の中の酸素を胎盤を通して分けてもらう生活をしていましたので、空気中に比べて少ない、お母さんの血液の中の酸素を効率良く分けて貰うためには、赤血球の数を増やして、多血の状態にして、対応しています。このため、生まれたての赤ちゃんは皮膚が赤く見えます。「赤ちゃん」という言葉も、赤ちゃんが多血のために、赤く見えることから、そう呼ばれるようになったものと思います。生まれ落ちてから、自分の肺で呼吸が始まると、不要になった、余った血液を大急ぎで壊していきます。そうすると、壊された赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)はいらなくなり、これを処理するため、肝臓で黄色い色素(ビリルビン)に変え、便中に捨てていきます。だから赤ちゃんは程度の差はあれ、一時、壊されたヘモグロビンから生じたビリルビンが増えて黄疸になります。
このように、生まれてすぐの赤ちゃんは、通常は多血の状態なのですが、生まれる前に、胎盤の機能が悪くて、お母さんから十分に栄養を貰えなかった赤ちゃんであるとか、出産前に胎盤が早くにはがれて血液を失ってしまうとかの原因があると、赤ちゃんが貧血になることがあります。
生まれてすぐの赤ちゃんが貧血であるというと、出産前後に重大な問題があった可能性が推測されます。きちんと治療をしなければならない病態があることがあります。このため、貧血のある赤ちゃんには、入院していただき詳しい検査を受けていただくことがあります。治療が終わって、その後の経過観察では、問題が無いとされているのでしたら、何も心配をせずに過ごして頂いて良いと思います。
■朝一番の尿の色が濃くて心配です。大丈夫でしょうか。
赤ちゃんの時は、夜昼などなく、いつでもおしっこは出っぱなしなのですが、年齢が進んで、昼間は元気に駆け回って、夜はぐっすり眠るというリズムができてくると、夜中のおしっこの量を減らすために、脳下垂体というところから抗利尿ホルモンという、おしっこの中の水分を減らして(中身を濃くして)朝までおしっこをしないで済むようにするホルモンが出るようになってきます。このホルモンがしっかり出るようになると、夜中のおしっこは中身が濃くなって、一晩膀胱の中に貯めておけるくらいの量におさまるようになってきます。ちなみにこのホルモンがうまく出ないと夜尿症になります。
ご質問のように、朝一番はじめに出る尿は、上に述べたような抗利尿ホルモンの影響を受けて、一日の中で一番濃い色になるのが普通です。ですから、尿の色が濃いことを心配することはまったくありません。
(最終更新日:2004年11月15日 15:57)■血液型を知りません。どのように調べたら良いのでしょうか?
血液型は、いつでも病院で血液を採血して調べることができます。ただし、わざわざ、血液型を調べるだけの目的で採血する必要はないと思います。血液型を知らなければ何か不都合が起こるということはありません。万一、事故その他で輸血をするときには、輸血する血液とご本人の血液を混ぜても大丈夫かどうかを調べて(交差試験といいます)輸血を行いますので、前もって血液型を知っておく必要はありません。
本当は血液型とは何も関係がないはずの性格などから何型人間などと言って、間違った血液型を信じてしまっている方がかなりたくさんおられますから、自己申告された血液型は間違っていることがよくあります。このため、それをもとに輸血の方針が決まるようなことはありません。
ただ、他の病気の検査のために採血をすることになった時に、あらかじめ、血液型を知りたいのだけれどもと言っていただければ、検査を受けることはできます。輸血の必要がある手術の場合のように、血液型検査が診療上必要な場合は健康保険の適応になりますが、血液型をただ知っておきたいというような目的の血液型検査には保険が適応されません。検査に必要な費用は実費を全額お支払いいただくことになります。この場合の費用はおそらく、数千円ということになると思います。医療機関によって違う可能性がありますので、おかかりの医療機関の事務職員にお問い合わせください。
(最終更新日:2004年11月15日 15:27)