診療科・部門紹介

消化器外科

診療科概要

2019年4月より診療部長の上田和光、診療科長の岩崎喜実を中心に新体制となりました。
上田は主に上腹部外科(肝胆膵、胃、食道)、岩崎は主に下腹部・骨盤外科(結腸、直腸、肛門、ヘルニア)が専門で、ともに日本外科学会と日本消化器外科学会含め、各種の専門医・指導医の資格を持ち、臨床経験も豊富であります。

2018年4月から上田が先に入職し、新体制へ向けて整備を行ってきました。その成果の一つとして、以前は行われなかった術式含め下記手術を積極的に行っています(2018年6月~2019年9月までの件数)。

  • 食道癌に対する右開胸・開腹、食道亜全摘術(2例)
  • 胃接合部(上部)癌に対する噴門側胃切除術(7例)
  • 早期胃癌に対する腹腔鏡補助下胃切除術(15例)
  • 大腸癌に対する腹腔鏡補助下大腸切除術(36例)
  • 骨盤内腫瘍に対する骨盤内臓全摘出術(1例)
  • 肝腫瘍に対する肝葉切除(3例)、区域切除(2例)
  • 膵頭十二指腸領域腫瘍に対する膵頭十二指腸切除術(3例)
  • 膵体尾部癌に対する膵体尾部切除術(2例)
  • 胆嚢癌に対する拡大胆摘~肝区域切除・胆道再建術(5例)
  • 急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術(17例)
  • 鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア根治術(4例)

当院のモットーである"誠意を以って最善をつくす"の通り、茨城県南地域の中核病院を担うべく臨床、研究、研修医への指導、だけでなく24時間、365日救急体制も敷いています(15歳以下の小児外科領域は除く)。

診療内容

◎ 肝臓疾患;主に肝腫瘍

肝細胞がん:近年の抗肝炎ウイルス薬の進歩で肝細胞がんの発生は減少しつつあります。その反面、アルコール(お酒)や糖尿病、肥満を原因とした脂肪肝(炎)による発癌が増えており注意が必要です。
治療は手術(Fig. 1 巨大肝癌、Fig. 2 尾状葉の肝癌)や、カテーテル治療(肝動脈塞栓療法)やラジオ波焼灼術、更には抗がん剤(分子標的薬)のおかげで生存率の上昇がみられています。
転移性肝腫瘍:主に大腸がんの転移が多く、手術 と抗がん剤を組み合わせた治療をしています。
肝内胆管がん:肝臓内の胆管から発生する悪性腫 瘍で時に黄疸を発症します。肝切除の術前には腫瘍の位置や切除する肝容積を測定するシュミレーションソフトを使用し 安全な手術を心がけています(Fig. 3)。

Fig1

Fig2

Fig3

◎ 胆道疾患

胆石症:良性疾患の代表です。右上腹部痛・発熱が多い症状です。早く診断して、早く治療(腹腔鏡手術)して、早期退院を目指しています。
胆嚢ポリープ:大きさが1cmを超えると悪性の 可能性もあり手術した方が良い場合があります。良性であれば腹腔鏡手術します。 胆嚢腺筋症:胆嚢の壁が部分的に肥厚する状態で 悪性との鑑別が困難な場合があります。
胆道がん;胆汁が流れる管(胆管)に発生するがんで、初期には症状が出にくく、進行すると黄疸が出やすいです。治療は手術が主体ですが腫瘍の場所により術式が大きく異なります。肝門部胆管癌の場合は手術の前に門脈塞栓を行う事もあります(Fig. 4)。

Fig4

◎ 膵臓疾患;主に膵腫瘍

膵臓がん:最も悪性度が高い癌の一つです。一見手術が困難でも抗がん剤を先行し縮小してから手術する場合も多くなってきました。
粘液産生性膵嚢胞腫瘍(IPMN):膵臓の内部に嚢胞形成(粘液が貯留)する疾患で多くは良性で経過観察可能ですが、悪性の場合は切除を勧めます。
膵神経内分泌腫瘍:ホルモンを異常分泌することもある腫瘍です。大きくなると手術が必要です(Fig. 5)。

Fig5

◎ 食道疾患;主に食道がん

早期癌でも内視鏡的粘膜下切除(ESD)が困難な場合は手術を選択します。主に右開胸・開腹、食道亜全摘、胸腔内吻合を行います。
進行癌の場合は、化学療法(抗がん剤治療)を先行し、その効果の具合で手術を検討します。

◎ 胃疾患;主に胃腫瘍

胃がん;早期の場合は腹腔鏡手術や残胃の機能を温存する手術を行っています(Fig. 6)。進行期の場合は開腹手術を優先することが多いですが、化学療法を先行する場合もあります。
胃GIST(消化管間質腫瘍);腫瘍の大きさや胃の発生部位により、腹腔鏡手術~開腹手術を選択します。多くは局所切除できる疾患です。

Fig6

◎ 大腸疾患;主に結腸がん、直腸がん

早期から進行期まで約7割の大腸癌 (Fig. 7)を腹腔鏡手術で行っています。直腸癌と横行結腸癌にも腹腔鏡手術を適応しており、体への侵襲も少なく術後退院まで7-10日(平均)です。
切除不能大腸癌では抗がん剤加療が治療の中心となりますが、適応があれば緩和的外科治療(原発巣切除・消化管バイパス術・人工肛門造設術)も施行します。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)は薬物療法の発達のため、外科的治療適応例は少なくなってきていますが、難治例では外科的加療を行います。

◎ 肛門疾患;痔核・裂肛・肛門周囲膿瘍・痔瘻・直腸脱

痔核:痔核結紮切除術が治療の中心ですが、切らずに治療するALTA療法(内痔核硬化療法)も行い、早期の社会復帰が可能となっています。
直腸脱(膀胱脱・子宮脱合併例は除く)(Fig, 8):侵襲の比較的少ない経肛門的治療から根治性の高い腹腔鏡下直腸吊り上げ固定術を行います。

Fig7

Fig8

◎ 主な救急疾患

急性虫垂炎;腹腔鏡手術を行っており、多くは術後数日間の入院です。
腸閉塞(イレウス);保存的治療で軽快しない、あるいは繰り返す場合は手術が良いです。
消化管穿孔;胃潰瘍の穿孔の場合は手術でなく保存的に治ることも多いです。大腸が穿孔すると多くは重篤になり集中治療が必要です。
消化管出血、肝外傷、膵外傷;状態により内視鏡的止血、血管造影下の止血を行いますが、止血困難な場合は手術を選択します。

診療実績

2018年度 手術件数

臓器 疾患名 術式 手術件数
食道 食道癌 右開胸・開腹、食道亜全摘、後縦隔再建 2
胃癌 胃全摘(腹腔鏡/開腹) 6 (1/ 5)
幽門側胃切除(腹腔鏡/開腹) 15 (3/ 12)
噴門側胃切除(腹腔鏡/開腹) 4 (1/ 3)
その他 7
小計(腹腔鏡)   32 (5)
十二指腸 潰瘍穿孔 穿孔部閉鎖 1
小腸 イレウス 癒着剥離、小腸切除etc(腹腔鏡手術) 17 (1)
その他 小腸部分切除 4
小計(腹腔鏡) 21 (1)
結腸 結腸癌(腹腔鏡) 28 (13)
結腸その他(腹腔鏡) 11 (2)
小計(腹腔鏡)   39 (15)
直腸・肛門 直腸癌 高位/低位/マイルズ切除(腹腔鏡) 13 (4)
その他 経肛門的切除 14
小計(腹腔鏡) 27 (4)
虫垂 虫垂炎 虫垂切除 45
肝臓 肝悪性腫瘍 試験開腹/肝左葉切除/部分切除 3
肝良性腫瘍 肝左葉切除 1
巨大肝嚢胞 腹腔鏡下開窓術 1
肝臓 小計   5
胆嚢・胆管 胆石症、ポリープ、腺筋症 胆嚢摘除(腹腔鏡/開腹) 85 (44/ 41)
総胆管結石症 開腹、総胆管切開・切石術 10
その他 6(1)
胆道 小計(腹腔鏡) 101 (45)
膵臓 膵癌(頭部/体尾部) 膵頭十二指腸切除/膵体尾部切除 1/2
膵臓 小計 3
ヘルニア     83
その他     14
消化器外科 計(腹腔鏡)  373 (26)

2018年度 科別MDC件数

MDC MDC名 症例数 平均在院日数
060035 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 88 11.5
060150 虫垂炎 65 10.6
060160 鼠径ヘルニア 63 6.8
060210 ヘルニアの記載のない腸閉塞 62 18.5
060040 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 61 14.1
060335 胆嚢水腫、胆嚢炎等 57 12.5
060020 胃の悪性腫瘍 38 16.6
060102 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 19 11.5
060170 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア 19 16.7
060060 胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍 12 14.5
060370 腹膜炎、腹腔内膿瘍(女性器臓器を除く。) 12 26.1

2010-2018 TSUKUBA MEMORIAL HOSPITAL. All rights reserved.