診療科・部門紹介

高次脳機能外来

診療科概要

当院では、主に病気や事故などにより脳損傷を起こされた患者さんの知的な後遺症を専門に扱う「高次脳機能外来」を開設しています。

高次脳機能障害とは何か

1.はじめに

重症の頭のけがや脳卒中などにより脳損傷を起こした方には、見た目にわかる身体的な後遺症(麻痺など)が残る場合と、見た目にはわかりにくい知的な後遺症(記憶障害や性格変化など)が残る場合があります。

身体的な後遺症は診断がしやすく、リハビリ訓練や障害認定の手順が比較的はっきりしていますが、知的な後遺症については、診断がつきにくくリハビリ訓練の計画が立てにくい、障害認定も複雑で分かりにくいという問題があります。

おおまかに、この知的な後遺症のことを「高次脳機能障害」と考えていただいてよいと思います。

2.高次脳機能障害の定義について

正確には、「器質的な疾患(脳のある部分に病巣が限定できる疾患)により生じる大脳の障害で、発症以前に訓練や学習していて身に付いていた知識や経験により、物事を感じ取り、状況を瞬時に分析判断、推理して、適切な行動を計画し、調節しながら実行していく機能の障害」と定義されます。

3.発症の原因

高次脳機能障害が起こりやすい疾患は、重症な頭部外傷(脳挫傷)や脳卒中(脳梗塞・脳内出血、くも膜下出血)が大半ですが、ときには脳の酸欠(低酸素脳症)や脳の感染症(脳炎)でも起こります。ビタミン不足やアルツハイマー病、パーキンソン病でも起こります。

4.症状

高次脳機能障害の具体的な症状の例には、次のようなものがあります。

  1. 簡単なことでも新しいことがなかなか覚えられない。そのため同じことを何度も聞き返す(記憶障害)
  2. (食事の用意をするときなどに)やり方はわかっているのに、物事を始めることがなかなかできない。以前は簡単にできた作業がうまくこなせない。なんとかできてもひどく疲れる。途中でいつもと違うことが起きるとどうしていいかわからなくなってしまう(遂行機能障害)
  3. 注意しないと、特に左側の見落としが著しい(半側無視)
  4. 着替えが、ひとりではうまくできない(着衣失行)
  5. 大事な用件でも集中が続かない。飽きっぽいように見える(注意障害)
  6. 簡単な足し算、引き算ができないため、買い物の精算ができない(計算障害)
  7. 言葉のやりとりがうまくできず、用件を他人にうまく伝えられない(失語)
  8. 見えているものが何か理解できず、かえって混乱してしまう(視覚失認)
  9. 道順が分からず、迷子になってしまう(地誌的障害)
  10. ささいなことが我慢できなくて、家族やまわりのものに当たる。自分の感情がうまく調節できない。切れやすい性格に変わってしまう(脱抑制)
  11. 何事にもやる気が起こらず、ぼうっとしている。あるいは寝てばかりいる(発動性低下)
  12. 障害を自覚せず、以前と同じになんでもできると思い込んでいるため、かえって問題を起こす(病識の欠如)
  13. 今いる場所、現在の時間、自分の住所、生まれた日がわからない(失見当識)

5.当院での取り組み

診断では、どんな障害をどの程度もっているのか見極めることが大事ですが、それに加えて、どんな状況で問題が生じるのかを具体的に検討します。また、どういう機能が残っているのかを確かめ、代償的対応ができないか調べます。

日常生活や復学、復職にどう対応していくか目標を立て、訓練計画を考えます。また、保険の障害認定や障害年金の申請ができないかを検討します。