診療科・部門紹介

整形外科

診療科概要

整形外科は、脊椎(背骨)や関節・手足の病気及び外傷(けが)の治療を専門とする科です。当院は、脊椎・股関節・膝関節を専門とする医師が勤務しており、手術の質・件数とも県内でトップクラスです。逆に、肩関節・足及び腫瘍を専門とする医師がいないため、そのような患者さんは他院に紹介させていただく場合もあります。

脊椎に関しては、手足の痛みやしびれ・首の痛み・腰痛の原因となる椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症に加えて、中高年者の腰椎変性側弯症・後弯症(腰曲り)、若年者の特発性側弯症の治療を行っています。脊椎の病気も関節の病気と同様に、内服薬・装具・注射等の治療で軽快することがほとんどです。しかし、これらの治療で症状が軽減しない、麻痺(力が入らない)が出現した、もしくは早期の仕事・スポーツ復帰を希望される患者さんには、年齢・病態を考慮した適切な手術をすすめています。可能であれば、顕微鏡等を使用した低侵襲な手術を選択していますが、大きな手術が必要になる場合も患者さんの負担を軽減するように出血量の減少・手術時間の短縮に努めています。

腰椎後側弯症

  • 手術前
  • 手術後

特発性側弯症

  • 手術前
  • 手術後

股関節・膝関節に関しては、筑波大学整形外科の三島初准教授・金森章浩講師の協力を得て、人工股関節及び人工膝関節全置換術の手術件数が多く、近年は膝関節の鏡視下手術(前十字靭帯再建術・半月板切除術等)も増えています。さらに関節を専門とする常勤医が赴任したこともあり、2016年は人工股関節全置換術(人工骨頭置換術も含む)が170件/年・人工膝関節全置換術が85件/年・膝関節の鏡視下手術が87件/年と、県内でもトップレベルの件数を達成しました。数が増えても質が落ちないよう、そして合併症が増えないように努力しています。

脱臼性股関節症

  • 手術前
  • 手術後

変形性膝関節症

  • 手術前
  • 手術後

これらの手術の増加に伴い、リハビリテーションのみ希望の患者さんの受け入れは困難な状態です。ご希望にそえない場合もありますので、その際はご了承ください。

多血小板血漿(PRP)による治療について

治療の概要

多血小板血漿(PRP)療法は患者様の血液を加工し、組織の再生に関連する成分を抽出、疾患のある部位に投与することで、"患者様自身の体がもつ修復力"をサポートし、改善に導く治療です。自分の血液を用いるため重篤な副作用なく利用できることが特徴です。

具体的な治療方法は、患者様の血液(15ml)を採取し、遠心分離処理をします。遠心分離をすると血液が成分に応じて分離するので、血小板を多く含む血漿部分層を多血小板血漿(PRP)として採取し、これを患部に注射します。

近年の研究で、多血小板血漿(PRP)の血漿や血小板には組織の修復を刺激促進する成分が含まれていることが分かっており、これらを濃縮投与することによる局所的な部位の早期治癒や疼痛の低減への関連性が統計的に示されています。しかしながら、作用メカニズムについて詳細な科学的証明はなされておらず、今なお研究の対象とされています。

[遠心前の血液と分離した後の血液を示した図(赤枠内がPRPとして採取される部分)]

遠心分離前

遠心分離前
→

遠心分離後

遠心分離後

(Anz et al.2019)

Plasma:血漿 Platelets:血小板 OtherWBS:白血球 Neutrophils:好中球(白血球の一種) RBCs:赤血球

治療対象の疾患

スポーツ関連疾患(外傷・変性)
組織自体が持つ再生能力を超えて、組織への繰り返しの力学的な負荷が積み重なると組織が"変性"してしまいなかなか治りにくい環境になってしまうことがあります。PRPはこれらの痛んだ組織の細胞を刺激することにより、より正常に近い環境の組織に近づけ、機能を改善することを目的としています。
また、スポーツを行っており、捻挫や肉離れ等の症状があり、少しでも早期復帰を望む方も適応となる場合があります。

変形性膝関節症
変形性膝関節症は関節軟骨の老化、肥満や素因(遺伝子)、また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などを主因として発症します。
例えば、加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、使い過ぎによりすり減り、関節が変形していきますが、同時に分子レベルでも組織修復のバランスの破綻が生じ、疼痛やさらなる関節の変形が促進されます。PRPは主にこの分子レベルでの組織修復のバランスを整える働きを示し、疼痛低減や現状以上の変形の進行を食い止めることを目的としています。

当院で用いる多血小板血漿(PRP)の特長

多血小板血漿(PRP)といっても調整方法によって得られる成分が異なり、特性が異なるといわれています。
当院で用いるPRPはArthrex社製のACPダブルシリンジシステムにより精製される"白血球をほとんど含まないPRP"です。この白血球をほとんど含まないタイプのPRPは変形性膝関節症の治療に一般的に用いられる種類のものであり、信頼性の高い研究で変形性膝関節症に対して治療の安全性と有効性が統計的に示されています(Smith et al. 2016)(Cerza et al. 2012)。
また、現状スポーツ外傷・障害に対しても信頼性の高い研究で有効性・安全性が確認されております(Boesen et al. 2017)(Vetrano et al. 2013)。

多血小板血漿

受診の流れ

▪本治療の適応であるかを診断するために、1度通常の受診をしていただきます。
▪予約につきましては、以下の問い合わせ先までお願い致します。
 予約電話番号:筑波総合クリニック 029-877-1221 
 ※お電話の際に、「PRP治療の件で、整形外科、木曜日金森医師で予約をお願いします。」とお伝え下さい。
▪受診結果に基づき改めて多血小板血漿(PRP)の予約をいただきます。
▪多血小板血漿(PRP)療法当日は採血から治療まで約15分程度で完了します。

治療後の一般的な流れ

▪注射後2-3日間は激しい運動をしないでください。
▪日常生活動作は注射当日から可能です。
 詳細は診察時に担当医にお問合せください。

費用

多血小板血漿(PRP)は保険外診療(自由診療)となり、当院では以下の通りに価格を設定しております。疾患・症状により複数回の治療が望ましい場合もありますので、詳細は診察時に担当医にお問い合わせください。
▪注射1回あたり: 30,000円(税別)
▪注射2回(同時に実施時): 50,000円(税別)

参考文献

1. Adam W. Anz et al. (2019). Exercise-Mobilized Platelet-Rich Plasma: Short-Term Exercise Increases Stem Cell and Platelet Concentrations in Platelet-Rich Plasma. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 35, No 1 (January), 2019: pp 192-200

2. Wen-Li Dai et al. (2017). Efficacy of Platelet-Rich Plasma in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 33, No 3 (March), 2017: pp 659-670

3. Patrick A. Smith et al.(2016). Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 44, No. 4

4. Fabio Cerza et al. (2012). Comparison between hyaluronic acid and platelet-rich plasma, intra-articular infiltration in the treatment of gonarthrosis. Am J Sports Med. 2012 Dec;40(12):2822-7

5. Anders Ploug Boesen et al.(2017). Effect of High-Volume Injection, Platelet-Rich Plasma, and Sham Treatment in Chronic Midportion Achilles Tendinopathy A Randomized Double-Blinded Prospective Study. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 45, No. 9

6. Mario Vetrano et al. (2013). Platelet-Rich Plasma Versus Focused Shock Waves in the Treatment of Jumper's Knee in Athletes. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 41, No. 4

診療実績

2017年度 手術件数

分類 件数
人工股関節置換術(人工骨頭挿入術) 153
四肢骨折接合術 139
脊椎(頚椎、胸椎、腰椎)手術 138
人工膝関節置換術(人工骨頭挿入術) 108
脱臼非観血的整復術 41
関節鏡下半月板切除術 40
靱帯断裂形成手術 39
関節内骨折手術 22
関節滑膜切除術 16
その他の手術 244
総計 940

2017年度 科別MDC件数

MDC MDC名 症例数 平均在院日数
07040x 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 126 27.8
070230 膝関節症(変形性を含む。) 117 28.1
160620 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 106 8.8
160800 股関節大腿近位骨折 91 65.5
070343 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 66 34.8
160690 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 61 52.9
070341 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 34 31.9
160820 膝関節周辺骨折・脱臼 18 88.8
160835 下腿足関節周辺骨折 18 36.5
160850 足関節・足部の骨折、脱臼 16 22.5

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